第45話 人を呪わば

朝会社に来て自席に座ると

何やら少し嫌な気配を感じた渡良瀬さん。


渡良瀬さんの直感が働く。

今この瞬間ではないものの何かが来る。

どうも呪いのようなもの。

なんとなく今夜あたりが怪しい。


お昼休みはランチを抜くことにして

会社の近くにあるわりと大きめの神社にお参りすることに。


厄除のご祈願を申し込むと空いていたのかすぐ呼ばれた。

ご祈願中にふと声をかけられる。


「これは相手にそのまま返しておけばよいのかな?」


ふと気づくと正面に半透明の姿で高貴な方のお姿が。

右手に何か捕まえておられる。

うっすらと見えるのは黒い霧のような何やら邪もの。

ただその邪なものも流石に高貴な方には逆らえないようで。


周囲に聞こえないくらいの小声で

「よろしくお願いします」

と口にして座ったままお辞儀すると同時に鈴の音がなり、

お姿が消えた。


ご祈願が終わって会社に戻るとちょうどお昼休みも終わり、

席につくと嫌な気配が消えていた。


深呼吸を一つ。

ふと山場は超えたような気がした渡良瀬さんであった。


風の吹く松竹梅

小説書いてます。 すべて架空の世界の出来事。

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