「色々ありましたが朝日が見れてよかったです。綺麗でしたね。」
そんなことを帰りの車の中で青木さんが話す。
「お役に立てたようで良かったです。」
人手が足りない、というワードの意味が少し違うような気もしたが。
「やはり渡良瀬さんにお声がけをしておいて良かったです。」
意味深に青木さんが言う。なにげに他の2人も頷いている。
「迂回のことですかね?
たまたまでも上手くいって良かった、と思ってますよ。」
昔からなんというか勘のようなものが働く方ではあるのだが。
「上手くいくときと、上手くいかないとき、
分岐点はどこにあると思いますか?」
抽象的なことを青木さんが問いかける。たぶん、今回だけの話ではないのだろう。
「運ですかね?」
なんとなく、あたりさわりのなさそうな言葉で返してみる。
「人です。」
「人…ですか。」
「はい。誰がやるか。誰とやるか。誰が相手か。全て人で決まります。」
「なんとなく、わかるような気はします。」
「やはり渡良瀬さんにお声がけしてよかったです。」
もう一度同じことを青木さんが言う。
まるでその言葉を噛みしめるかのように。
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